2012年9月20日木曜日

清盛セミナーin山口(ゲスト:平盛国役・上川隆也さん)


※台詞として書いてある部分、まんまじゃないです。ニュアンスを保ちつつ編集しています。
 こんなことを言っていた、程度に思ってください。
(分かり切っての事でしょうが、けっこうニュアンス違いって重要だと思うので。特に上川さんの場合)

<会場前>
11時15分に会場に到着。エントランス前に大河関連のパネルが3枚6面に展示されており、ロビーには既に30人ほどが並んでいました。
前の方の人は9時(会場が開く時間)に来たらしい。場所取り用の椅子やら荷物やらをきっちり用意してあるあたりプロファン(造語)ぽい。
マダムとロマンスグレーが中心でした。
1時15分ころ開場。

1時30分。NHK山口放送局のアナ登場。
はよ上川さんを!上川さんを!!と思ったら、NHK山口の新入社員(営業担当)がステージに出てきて
「緊張してます!NHKは秋から受信料が下がります!NHK山口をよろしくね!」というご挨拶があり、
山陽小野田市の市長挨拶、NHK山口放送局長の挨拶と続きます。
なるほど地域セミナーってこういう感じなのかー、と思っていたら、市長のコメントが非常に面白かった。
このホールは小さいですけど音響効果のいいホールなんですよー、という話からはじまったのですが、徐々に
「今日はなんと上川隆也さんがおいでくださってます。早い方は新幹線で来て9時から並んでいらっしゃるとか…」
(ここで開場の大部分の人々からどっと笑いが起きるが、前列のあたりは無言。なぜなら自分たちがそうだからです…。笑えよッ!
「わたしも上川さんは『大地の子』から非常に好きで」
「盛国がどうなるのか楽しみですね」
…この市長、ふつーに平清盛見てて、ふつーに上川さんのファンですね??と思った。

で、局長のご挨拶があり、満を持して上川さんといそぴー登場。まずは舞台の前の方でご挨拶。

司会「山口県の印象はいかがですか?」
上川「受信料が下がるんだなぁと…」
会場の笑いを取りつつも、緊張した面持ち。マイクを持ってない左手が、お尻の後ろでソワソワしていました。
上川「映画の撮影で錦帯橋に来たことがあります。車で関門海峡を渡ったこともありますが、その時はこの大河のお話をいただく前だったので、あの海に今後、深田恭子さんが身を投げられるかと思うと、感慨深いものがありますね」

いそぴーにも同じ質問。「ドラマをやると何かと山口県に縁がある」という話をし、毛利元就と龍馬伝の両方に上川さんが出たことにも触れて「上川さんは普段トークとかあんまり出てくれない人なんですけど、山口県ってことで来て貰いました」

ご挨拶が終了し、おのおの着座。…なんですが、上川さんは司会のアナの前を横切るときに会釈し、椅子に座る時に一礼し、このほんの数秒で好感度をガンガンに上げていた。おそるべし。




<現場について>
司会「上川さんは4度目の大河ドラマ出演ですが、今回の現場の特徴というか、違うなぁと思うところはありますか?」
上川「平家に限ってのことですが、ヤローばっかりなんで、男子部活のノリがあるというか…。今流行ってるのは『男気じゃんけん』です。勝った人が負けた人全員にジュースをおごって「男気」を見せなければいけないという」
司会「男気じゃんけん(笑)」
上川「第7回まで開催されていて、結果が張り出されているんですが、現在のところの最多チャンピオンは鈴之介です。男気じゃんけんなので、負けたとしても喜んではいけないんですが、彼はよく負けた時に『よしっ』と喜んでしまって、再度じゃんけんに加わらないといけなくなったりしてます」

<上川さん起用の理由>
いそぴー「自分が助監督を務めた『毛利元就』で上川さんは大河に初めて出られたので、所作指導や殺陣指導などの時にずっと一緒にいまして、自分がいつか大河をやる時には出てくださいという話をしていました。
今回は主役の松山君が27歳と非常に若いので、主役経験者に支えて貰いたいという希望があり、前半は中居貴一さんに、中盤以降は上川さんにその役をお願いしようということでお願いしました」
上川「僕自身はあまり支えているという感覚はなく、一緒にお芝居を楽しんでいるという気分です。松山君の役者としての芯がどんどん太くなっていくのを横で見ているのは、こういう言葉が適切かどうか分かりませんが、とても楽しいですね」

<盛国の役作り>
上川「盛国はあまり歴史上に出てこない人物です。だからこそ今回の脚本でも漁師から取り立てられたという自由な描き方をされています」
いそぴー「何をしたのかどういう人物なのかよく分かっていませんが、清盛のことを調べてくると、まわりでよく盛国の名前が出てきます。重用され、親しい人物だったのではないかと」
上川「役作りのとっかかりにしたのは、『清盛が盛国の自宅で死んだ』ということです。どういう理由で盛国の家で亡くなったのかは分かりませんが、あれだけ権力を誇った人が、最期の場所として盛国の家を選んでいる。その二人の距離感から盛国像を作っていきました。また、これは現場に入ってからですが、忠盛が清盛に対して『鱸丸は軸が出来ているから船上で転ばない』というシーンがあったので、鱸丸は軸をブラさない男でいこう、と」

<衣装について>
司会「弁護士や医者などの役が多い上川さんなので、漁師の役というのは意外でした」
上川「自分は漁師の役そのものに抵抗はないですねー。この衣装は驚きましたが。もともとは平安時代の普通の庶民の格好を考えていて、一度それで衣装合わせも終わっているんです。なんですが、僕のあとに鱸丸の子役時代を演じる子の衣装を決めて、その時に髪を下ろしたんですね。で、『上川さんもこれでいこう』ということになり、一からやり直しました」
司会「戸惑いは…」
上川「正直、戸惑いました。半裸ですからね…。やばいぞ、と」 
(→やばいって単語使ったー!!と思った)
いそぴー「それから体を鍛えたんだっけ?」
上川「見苦しくない程度には…」(←とメモってありますが、どうやら「誹られない程度には」と言ったようです。そしられないって。)

<ネーミング>
いそぴー「盛国というのは、清盛を原点に立ち返らせてくれる存在です。これから権力者になって、いきすぎの面も出てくる。そこに盛国がいることで、それを知らせてくれる」
鱸丸という名前は、平家物語で、熊野詣に行く平家の船に、鱸が飛び込んでくるという段があるんですね。そこから脚本の藤本さんがつけました。鱸というのは吉兆です」
上川「その
鱸は清盛に食べられちゃうんですけどね」 (→食べられ「てしまう」でもなく、食べられ「た」でもなく、食べられ「ちゃう」ってあたり、萌え
いそぴー「鱸丸が平家に繁栄をもたらすという感じでしょうか」
上川「たいらげられちゃって…」 
(→さりげなく上手いことを言う上川氏。これはちゃんと覚えてます。言いました。)
いそぴー「(上川さんの駄洒落がさりげなさすぎて一切気づかないまま)清盛は特異な人物なので、周りには清盛の考え方が分かりづらかったりします。でも、盛国を見ていると、清盛のことがわかるようになっています。視聴者と清盛をつなぐ役割を担っていますね」

この辺りで、鱸丸が平家の一門になるまでのダイジェスト映像が流れますが、「そんな脳内で再生可能な映像わざわざここで見てもさぁ!!リアル上川さんがいるんだから!なんか喋ってくれ!発声練習でもいいわ!!」などと思いつつ本人ばかり見ていた。
と、上川さんは自分の前にあるペットボトルの水を自分のグラスに注ぎ、次にいそぴーのグラスに注いでいた。戸惑ういそぴー。そりゃあ一人一つグラスとペットボトル用意されてんだから、戸惑います。

映像明け。

<小舟の練習>
司会「いかがでした?」
上川「いかがと言われても…自分のしたことですし…
いかがもへったくれも。でも松山くんはすごく変わりましたね。まだ少年のあどけなさがあって」
いそぴー「清盛と鱸丸が船の上で会話するシーンは、櫨で船をこいでいるのですが、今ああいう漕ぎ方が出来る人は日本に少ししかいません。クランクインの前に、上川さんには一人だけ一日早く入って貰って、練習してもらいました」
上川「最終的には、自分の行きたい方向に行けるようになりましたね」
いそぴー「あのシーン、簡単そうに見えますが非常に大変な技術がいります。撮影しているスタッフの船と撮影している小舟は全く繋がっていません。そして瀬戸内の海は潮の流れが意外と早いんです」
司会「この時期ですよね?炎天下の中、練習は大変だったでしょう」
上川「でもね、こういう(ジェスチャー)公園で乗るようなボートにすると、清盛と
アベックみたいになっちゃうし」 (→アベック…)
いそぴー「櫓を漕ぎながら演技もするというのは、本当にすごい技術なんです。日本で唯一なんじゃないかな?」
上川「履歴書に書けますね」
いそぴー「別の人に漕いでもらって、編集でつなぎ合わせることは出来ます。が、このドラマは極力そういうことをしていません。流鏑馬のシーンなども役者さんに演じてもらっています」
司会「なるほど、あの櫓を漕いでいるのは上川さんご本人なんですね。ちなみに松山さんも本物ですか?」
上川「(体を向けて)あの、それ本気で質問してます?このシーンで松山くんが演じないメリットが、どこに?」 
(→手厳しい上川ツッコミ入ったァァァ)
司会「すいません、本物ですよね」
上川「ええ、あの、お考えの通りです」


<盛国の役作り>
上川「鱸丸から盛国への変化は、視聴者に無理なく見てもらえるよう、鱸丸をあまりワイルド
(「粗野にしない」と言いかけて、いい言葉が見つからず、「ワ…ワ、ワイルド」と言っていた)にしないように演じました。これは清盛の物語で、盛国の変化にあまり物語を費やすことは出来ないので、あまり無理なく武家社会に馴染めるような要素がもともと鱸丸にあった、という設定にしました。清盛と付き合う中で、武士としての何かしらを掴んでいったのではないかと。脚本にはそんなこと全然書いてないんですけど」
いそぴー「脚本にないことを役者さんが埋めてくれるのはありがたいですし、さすがですね」


<松ケン清盛>
いそぴー「清盛がわりととんがっている人なので、共感して貰えるように盛国がいる。清盛も松山君も支えてくれるのが盛国であり上川さん(的な感じのことを言ったような)」
上川「そんな感じはないですけどね。松山くんは撮影に入る前に平家物語を全部読んできて、とても緻密に考えて演技をしています。なおかつ、現場では演技を変えてくる(※別セミナーにて、「松ケンはテイクのたびに演技を変えると評判」と言う話があったのと同じですね)。緻密、かつ、大胆です」

いそぴー「盛国自身も変化していく訳だけど、その辺の役作りはどうしているの?」
上川「いつの間に磯さんが司会に。盛国は清盛に従ってきたというより、併走してきたと思うんです。共犯者というか(※この単語を使ったかどうか曖昧です)盛国は漁師なので、清盛について走っていける基礎体力があったんでしょうね。ただ、盛国ももう歳をとっていますから、明子が死んで半狂乱になった清盛を力ずくで抑えたようなことは、もう出来ないでしょうから、別の方法で清盛を止めていくと思います」
いそぴー「そうだよね、64で死ぬもんね」
上川「えっ、僕、74歳だと思ってました」
いそぴー「いや64歳だよ」
上川「そうでしたっけ?」
いそぴー・上川「………」
上川「いややっぱり74ですよ、だって僕もう60近い役柄演じてますもん」
いそぴー「ああ盛国のこと!?ごめん清盛のこと言ってた」
上川「ですよね!?」

この辺でもう一度映像が入った記憶。「清盛を支える盛国」がテーマ

いそぴー「説明台詞ばっかり言わせてるね」
上川「もりもりもりもりしてますよね」
いそぴー「医者とか弁護士とかの役が多いからつい上川さんに難しい台詞を振ってしまうけど、こうして土台がきちんとしているから他のメンバーが安心してコメディをやれています。どうやって台詞覚えてるの?」
上川「普通です、台本読んで…。普通に」

<現場の裏話>
いそぴー「月曜がリハ、火曜~金曜で朝10時から夜中1時2時まで撮影して、1日あたり10分の映像が撮影できます」
上川「朝8時に入ってカツラを着けて衣装を着てメイクをして、10時に撮影開始という感じです」
司会「準備の時間が長いですね」
上川「ハイビジョン撮影なので、髭も一本一本載せたり、カツラも全部を覆う全鬘ではなく半鬘というものを着けて自分の生え際を生かしたりしています」
司会「その間に台詞を覚えたりしているんですか?」
上川「覚えてきますのでそれはないです。リハーサルが1日ありますし。だいたいは『昨日なに食べた?』とかそんな話を」
司会「そうなんですね。ちなみに上川さん、昨日は何を」
上川「聞きたいですかそれ? …お魚をいただきました」
司会「待ち時間も長そうですね」
上川「控え室では武士がステラ読んだりマンガ読んだりしてますよ。待ち時間に台本開いてる人は見たことないです」
いそぴー「若手の役者さんは直前まで台詞確認したりしたいでしょうけどね、盛国が台本開いてないと他の人は開きにくいですよね(笑)」
上川「じゃあ台本読むようにします…」
いそぴー「しかも『男気じゃんけんしよう!』なんて」
上川「誤解のなきように言っておきますけど、僕が発起人じゃないですよ!松山君です!


<そのほか、従者盛国についての諸々(メモがあんまりない部分)>
・盛国は平家の一員と雖も一人だけ身分が低い。清盛と後白河が話している時などは間に入れない。それでも清盛の側にいるというのが大事。
・ただ側にいるだけだけど、それが重要で大変。
・(盛国と自分の共通点を聞かれて)自分との共通点を見つけて役作りをするタイプではない。例えば自分がピーマンが嫌いとします。でも演じる役はピーマンが大好物。そこに共通点を見つけられるかというと、無理ですよね?全く別物として演じてます。
・とにかく清盛の側にいる。台詞がなくても、立場的に会話に入れなくても、側にいる。そして、特異な清盛と周りとをつなぐ伝達役をする。盛国は清盛の原点として常にそこにいて、清盛がいきすぎた時はそれを知らせてくれる。 
(→見てわかっちゃいるけど凄い設定)


<質問コーナー>
(3人、テーブルを離れて舞台の前の方へ)
司会「質問のあるかたー」
(ぱらぱらと手が上がる)
司会「どうぞ(上川さんに振る)」
上川「えっ?僕が当てるんですか?じゃあそこの…」
質問者「『龍馬伝』で中岡慎太郎を…」
上川(びっくりした顔する)(『平清盛』と表示された後ろのスクリーンを指さして)「たいらの、きよもりーー!!(小声で)」
結局「中岡慎太郎に平盛国に、その他いろんな時代を演じているけど次はどんな時代がいいですか」という質問。
上川「こればっかりは、自分で決められるものでもないですよねぇ。でも、毛皮一枚で駆け回るような役はちょっと…(笑)」

次はいそぴーが当てる。「忠度が入ってきたとき盛国だけ抜刀したのはアドリブか演出か」という質問。(とてもいい質問だった…)
上川「これはリハーサルの時に自分から提案しました。他の皆は直衣になっていて、すぐに抜刀できる状態ではない。なら盛国ならどうするか、と思ってのことです」

次は上川さんが当てる。とても笑顔のマダムが当たる。
マダム「平清盛ではなく上川さんにお伺いしたいのですけど」
上川「平清盛のことにしてください
マダム「(気にせず)『大地の子』で素晴らしい中国語を喋っていらっしゃって~~~~~~~私も今中国語を~~~~~~とても難しくて~~~~上川さんの発音は完璧で~~~~~~~~」
(このへんで上川さんがずーっと「ヒー!」という顔をしているのがめっっちゃ可笑しかった)
司会「あのっ、あの、質問は」
マダム「あらごめんなさいね大ファンなのでつい。どうやって中国語を覚えられたのでしょうか」
上川「僕は中国語を覚えたと言うよりも、台本に書いてある台詞を中国語の先生に吹き込んで貰って、それを丸暗記しただけで」マダム「(割り込み)まぁそれにしては素晴らしい発音で」「……なので撮影がカットになって中国の方から中国語で話しかけられても一切わかりませんでした。…これでよろしいでしょうか?」
マダム「まぁ…そうなんですね、いや本当に中国語の発音は難しくて、今じつは娘が北京にいるんですけども」
上川「あの、喫茶店で二人っきりでお話ししてるわけじゃないですからね!?

上川さんは多分(平清盛を目当てにセミナーに来ている人にはすごく申し訳ないこの状況!!どうしよう!!)と思っていたんでしょうけど、私としては上川百面相が見られてすっごい可笑しかったです。
自分で当てたのもあるのか、「ヒィィィィ」って顔してた。可笑しい…。

最後は拍手で退場。いそぴーが普通にハケていくのに対し、上川さんはターン&会場全体見回し&お辞儀、の舞台俳優コンボを華麗に決めてハケていった。なんという上川隆也。


以上、上川ファンによるとても不真面目なレポートでした!



おまけ
上川さんの可愛かったところ
1)序盤は落ち着かないのか手がそわそわしていた
2)話す時に前のめりになると靴のさきっぽが上がった
3)2度ほどマイクのお尻に腕時計をぶつけて『ゴンッ』→「あっすごい音が。すいません」
4)トーク中に赤ちゃんが泣き出し、「どこかなー」という顔できょろきょろする
5)質問コーナーの途中でも泣き出し「僕は赤ちゃんが気になるんですけど、大丈夫ですかね?」
なんか他にもあった気がします。気が向いたら書き足します。



書き足し(9/20)
上川さん、盛国を指して「平家の面々が賑やかにたくさんいる中で、存在感なく盛国もいる」という文脈で「枯れ木も山の賑わい」発言をしていた。どこが枯れ木だよ!!常緑樹だろうが!!!







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